【バレンタイン】チョコを贈る日ではなかった?これからのバレンタインを考えてみた。
先日の2月14日はバレンタインでしたね。みなさんはどう過ごされましたか?男性はホワイトデーが近づいてきて、焦っている方もいらっしゃるかもしれません。さてバレンタイン直前のこと、スーパーに行った際、とっても印象に残るポスターを見つけました。それがこちら
(出典・花の国日本協議会 https://www.flower-valentine.com/)
世界でいちばん花を贈る日。なんて印象に残るキャッチコピーなのでしょう…。ポスターによると2月14日は“フラワーバレンタイン”という、感謝の気持ちと共にお花を贈る日なのだそう。
バレンタインといえば浮かんでくるのはチョコ。近年では贈答用のほかに、感謝の気持ちを伝える“義理チョコ”や自分用にチョコを買う“自分チョコ”、友達へ送る“友チョコ”など様々なチョコが生まれていました。毎年たくさんの方がチョコに悩まされていることは言うまでもありません。
贈答用から始まり、時代に合わせて形が変えてきたバレンタイン。フラワーバレンタインを見かけたことを踏まえると、若い≒Z世代世代には”バレンタイン=チョコ”の価値観が合わなくなってきているのかもしれません。しかしどうしてチョコの代わりにお花を贈るのでしょうか??
■バレンタインは、愛を守り感謝を伝える祝日だった
フラワーバレンタインについて調べる前に、まずはバレンタインの起源を辿ってみましょう。
バレンタインの歴史は、古代ローマで起こった悲劇から始まります。古代ローマでは2月15日は女神の祝日と定められており、ルペルカリア祭というお祭りが行われ、祭事に合わせ多くの若者が婚姻の誓いを結んでいました。しかし戦争がおこり、戦地に赴く兵士の士気がさがるという理由で婚姻自体が禁止されてしまいます。婚姻の禁止を憐れに思ったローマのキリスト教司祭バレンタインは、兵士と愛する人を内密に結婚させることに。やがて当時の皇帝に内密に婚姻させていたことが知られてしまい、バレンタイン司祭は処刑されてしまいました。ルベカリア祭りの前日、2月14日のことだった、といわれています。後年、統治状況などが変化。バレンタイン司祭は愛を守りぬいたとして称えられ、キリスト教にて2月14日が聖バレンタインデーとされました。
その後バレンタインは現代まで愛を伝えるイベントとして伝わり、イタリアでは恋人同士がプレゼントを贈り、近年では宗派を超え、インドでも愛を伝える日として認知されているのだとか。そしてドイツやベルギー、フランス、アメリカなど欧米や、タイやベトナムなど一部アジアでは、花束ともにカード贈り、女性・男性関わらず愛や感謝を伝える行事となっています。バレンタインに花を贈るのは、海外で多く見られる由緒正しいバレンタインの過ごし方だった、というわけです。
一方、バレンタインのイメージであるチョコは、商品戦略としての側面を強くもって生まれました。はじまりは18世紀。イギリスでのバレンタインにおいて、製菓メーカー「キャドバリー」が華やかな装飾を施したチョコレートボックスやハート形のチョコを販売。バレンタインの贈り物として一躍大ヒットを記録し、以降バレンタインにおいてチョコレートは定番の贈り物となりました。日本においては1958年、モロゾフがバレンタインの広告に「あなたのバレンタインにチョコを送りましょう」というキャッチコピーで大々的に打ち出したのが始まりです。
つまりバレンタインの本質は“性別にかかわらず愛や感謝の気持ちを伝える”イベント。決して女性からチョコレートを渡すことが重要ではなかったのです。
■Z世代のバレンタイン観
冒頭でもふれたように、近年ではバレンタインにお花を贈る習慣が広まってきています。じっさい流行を担うZ世代は、今までのチョコを贈るバレンタインに対して、どのような考えを持っているのでしょうか?Z世代である筆者は、バレンタインについて10人ほど、友人や知人に取材を行いました。
得られた回答は以下のようなもの。
・22歳 会社員 男 「女性があげる、っていう風習には違和感を感じる。男性からモノを贈る習慣がない今、贈りものを渡せたら新鮮で喜ばせてあげられるかも……。」
・22歳 学生 女 「最近、男の人に手作りじゃなくていいって言われて作るのがバカバカしくなってしまった(笑)毎年作るのも飽きていたから(手作りじゃなくてもいいといわれて)正直嬉しい。けれど既製品を買うのは気持ちがこもっていない気がして悩んでいる。」
・21歳 学生 男 「もらったときに、手作りだと思うと嬉しい気持ちと同時に申し訳なくなってしまう。女性から行動を起こすのってきっと勇気もいるだろうに、チョコまで作って貰っちゃってすごく時間を使わせちゃってるな……みたいな」
・20歳 学生 女 「毎年作ってるけど、毎回途中で何してるんだろ……って考える。女に生まれたばかりに毎年チョコ作ってる……みたいな。(笑)」
という声を聞くことができました。
もちろん、これまでのバレンタインについて「一年に一度、お菓子を作るいい機会になる。」や「毎年何作ろうか、と悩むのが楽しい」と良い印象を抱いている友人もいましたが、“バレンタインは女性からチョコを贈らなければいけない”というイメージは揺らぎつつあるようです。
過去のアンケートでは、男女の平等や自分の価値観、自由を重視するというデータがでているZ世代。性別に縛られない考えを持っているようです。
Z世代とは生まれたときからSNSが身近にある世代。自由・平等の考えについての世界的な情報は、意識せずとも自然と流れ込んできます。グローバルなバレンタイン事情や歴史についても同じことが言えるでしょう。結果、既存の枠組みに違和感を持ち、お花を贈るバレンタインに興味を持ち始めたのではないでしょうか?
■愛や感謝の気持ちを伝える花とは?
様々なバレンタイン事情を踏まえてアップデート…というかグローバルな先祖返りした日本のバレンタイン。日本で広まっているフラワーバレンタインは男性から女性に花を贈るそう。ではフラワーバレンタインにおいてどのようなお花をプレゼントすればいいのでしょうか?
フラワーバレンタインの本場・欧米で最も贈られるお花はバラ。バラは色・本数によって花言葉が変わるため注意が必要です。バレンタイン用に好まれる組み合わせは、赤いバラ×5本の組合せ。花言葉は「あなたに出会えた心からの喜び」感謝伝えるにも愛を伝えるにもピッタリの花言葉です。
ちなみに赤いバラ単体の花言葉は「あなたを愛しています」「愛情」「美」「情熱」など。本数では、
1本「一目ぼれ」「あなたしかいない」
2本「この世界は二人だけ」
3本「愛しています」「告白」
4本「死ぬまで気持ちは変わりません」
5本「あなたに出会えた心からの喜び」
となり、そのほか
12本では「私と付き合ってください」
99本では「永遠の愛、ずっと好きだった」
108本では「結婚してくください」
999本ともなると「何度生まれ変わってもあなたを愛する」となります。単体の花言葉に沿った情熱的言葉が多く、贈っても貰っても、その後のストーリーが気になってしまいますね。
またこれまでのチョコ=バレンタインのイメージを崩さず、フラワーバレンタインにも馴染めるお花として、チョコレートコスモスというお花があります。
チョコレートのような濃い赤茶のお花で、香りまでもチョコレートだというのですから驚きです。花言葉は信頼や気持ちの強さを表す「移り変わらぬ気持ち」。チョコだけれど、チョコではない。周りとはちょっと違った雰囲気の贈り物となることでしょう。ちなみにお花をもらった際のホワイトデーは、お花を贈り返してあげるそうです。
■これからの”バレンタイン”を考える
日本にとって新しい文化であるフラワーバレンタイン。日本では”男性がお花を贈る”という形式で広まっています。しかし、いままでの”女性からチョコを贈る”という形式も、浸透・親しまれている文化であるのもまた事実。
チョコを贈るこれまでのバレンタインがなくなるわけではなく、しかしフラワーバレンタインが全てを塗りけるわけでもなく。
“性別に縛られず、それぞれがそれぞれの方法で愛や感謝を伝えあう日”へと、日本のバレンタインは歩みを進めていくのかもしれません。