Kさん、Yくんともに、「ストーリーはラクだ」という言葉が印象的でした。
通常投稿は長く残るものなので、それなりに体裁を保つ意識が働きます。写真の選び方や投稿文で、その人のことがだいたいわかることを、Z世代は経験で理解しています。
反対に「ストーリー」なら、24時間でフィードから消えてしまうため、気負う必要がなく、瞬間の共有がしやすくなります。ストーリー専用の「フィルター」もアプリ内に用意されているので、一貫性と瞬発性に富んでいます。
これらのヒアリングからわかるのは、Z世代は特に「他者からの視点」を意識しやすい、ということです。
他人から自分の投稿がどう思われているのか、無意識のうちに考えているからこそ、ストーリーを「気楽だ」と捉えるのではないでしょうか?
この仮説をもとに、Z世代には「人目が気になるかどうか」についても聞いてみました。
「人目はすごい気になりますね。すぐSNSでわかっちゃうから、何も悪いことできないですし。ビックリするぐらいすぐ広まっちゃうんですよ!スクリーンショットとかされたら怖いし、自分の行動にも気を付けますよね」
「やっぱり見られている……いや、見られてないのはわかっているんですけど。ツイッターで誹謗中傷とか、炎上しているのを見ちゃって、やばいなぁと……」
「何も思っていなくても、無意識に見られているような感覚になることはあります。皆がスマホ持っているのが当たり前なんで、ちょっとは気になりますよね」
ソーシャルネットワークが整った環境下、誰かに見られていることは当たり前なZ世代。
無意識のうちに、監視されているような感覚を覚えやすいのかもしれません。
SNS上でも、「人からどう見られているか」を自然と意識して、立ち居振る舞う姿が印象的でした。
友達と一緒にいたり、流行りの観光スポットに行ったり、カップルでデートしたり……
インスタでシェアしたくなるようなイベントは、日常にそこそこ転がっています。
けど、それをあからさまにたくさん投稿したら、どう思われるかわからない……
そんな時に、ストーリーはめちゃくちゃ便利なのです。
消えてしまうからこそ心地よい、作りこみすぎない素の投稿ができる「ストーリー」は、これからもZ世代の間でシェアされ続けるでしょう。
最後に余談ですが、インスタグラムは2018年6月に、縦型の長尺動画を投稿・ザッピングできる新たなアプリ「IGTV」をリリースしました。こちらはインスタアプリ内からも見ることができ、すべての利用者が「チャンネル」を持つことができます。
15秒の一瞬を切り取る短尺動画「ストーリー」と、作りこんだ長尺動画を用意できるコンテンツフィード「IGTV」。
はたしてこのメディアは、Z世代にどう見られていくのでしょうか?
みなさんはどう思われますか?やっぱり今の若者向け動画メディアといえば、「TikTok」?